恋する任務は美しい〜メガネ上司の狼さんと訳あり隠密行動〜
「僕らの能力を買ってくれてね。だから、いろんな仕事をくれるんだ」

「だからあんまり大上部長の悪口をいうなよ。椎名、わかったか」

「椎名さん、こいつキレるとどうなるかわかんねえ奴だからさ」

「……は、はい」

力強い二人ににらまれては、さすがに歯が立たない。
緊張感が生まれると、両隣に座る二人から笑い声が漏れた。

「嘘。女子供、弱い奴には手出ししねえから」

「その分、大上部長が『カントク』を盛り立てていこうっていう気持ち、わかってほしいよ」

横尾さんや戸塚さん、鈴井さん、あおいさんが活躍できるこの『カントク』なのに、わたしの役割って一体なんなんだろう。

「そういえば、大泉さんが椎名のこと言ってたな」

と、戸塚さんがぽろっとつぶやいた。

「言ってたね。慕ってくれた先輩だったのに、いなくなって寂しいってさ」

「役に立ってたんだ、わたし」

「そのための『カントク』でもあるんだよ。俺らの立場は」

何もしてあげられなかったけれど、大泉さんにとっては必要とされていたんだ。
二人の言葉がとてもあたたかく、心にしみる。

「しかしねえ、椎名さんがねえ」

「どういうつもりなんだろうな」

と、間をはさんで二人口々に話している。

「どうしたんですか?」

「どうして椎名さんが『カントク』に来たのか気になってな。理由聞いた?」

「いえ、まったく。ただの窓際部署とおもっていたので」

「ったく、そこらへんの使えねえ部署と一緒にすんな」

こらこら、と鈴井さんが戸塚さんをやさしくなだめている。

「大上部長のお考えで成り立つ部署だからな。椎名さんはきっと何かの意図があったんだろうけど」

「恥かかせるなよ、椎名」

目鼻立ちが整った両脇の二人にじっと見つめられてしまって困ってしまった。

「わ、わかりましたから。仕事させてくださいよっ」

と、ごまかすようにして残りの仕事をはじめると、ちょっと早いけど帰るわと、二人とも帰っていった。
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