恋する任務は美しい〜メガネ上司の狼さんと訳あり隠密行動〜
次の日も普段と変わらない『カントク』特別班の部屋へ向かう。
戸塚さんと鈴井さんがいっていた疑問が大上部長の顔をみた瞬間、思い出された。
「なんだ。椎名萌香。俺の顔に何かついているのか?」
「……いえ、別に」
ただ単に『カントク』に押し込めたわけではないんだろうけれど、パソコンで資料をつくっていたり、電話で外部とやりとりしていたりと忙しそうに動く大上部長に直接きくのもな、と思い、わたしの専用のパソコンが置かれたテーブルにつく。
すでにパソコンの横には昨日片付けたはずの書類が束がダンボールの中にうず高くたまっている。
作業班の書類もあるから無理はないか、と書類整理や伝票処理を進めていく。
「あれ、これって」
ダンボールの中の書類を手に取ると、最新号の社報があった。
社報の中でグループ会社の話が載っている。
篠崎商事マーケティングプラン部の記事があった。
新しい商品の取り扱いについてで、大泉さんの名前が取り上げられていた。
「大泉さんが考えていた商品、取り扱うことに決めたんですね」
「そうみたいだな」
「で、お前が提案した香水だけどな」
大上部長はちらりとパソコン画面越しにこちらをみて、コホンと小さく咳払いをした。
「あ、あの、わたしがいっていた香水ですか?」
「今回は見送った」
「え、やっぱりダメだったんですね。やっぱり企画の才能はなかったんですね」
「紹介するのがためらわれる」
「え? どういうことですか?」
あの香水、やっぱり紹介しないほうがよかったんだろうか。
「なんでもない。手がとまってる。作業を続けろ」
ごまかされるような気がしたけれど、部長の指示に従わないとさすがに今日やりたい分は終わらないから仕事を進めた。
戸塚さんと鈴井さんがいっていた疑問が大上部長の顔をみた瞬間、思い出された。
「なんだ。椎名萌香。俺の顔に何かついているのか?」
「……いえ、別に」
ただ単に『カントク』に押し込めたわけではないんだろうけれど、パソコンで資料をつくっていたり、電話で外部とやりとりしていたりと忙しそうに動く大上部長に直接きくのもな、と思い、わたしの専用のパソコンが置かれたテーブルにつく。
すでにパソコンの横には昨日片付けたはずの書類が束がダンボールの中にうず高くたまっている。
作業班の書類もあるから無理はないか、と書類整理や伝票処理を進めていく。
「あれ、これって」
ダンボールの中の書類を手に取ると、最新号の社報があった。
社報の中でグループ会社の話が載っている。
篠崎商事マーケティングプラン部の記事があった。
新しい商品の取り扱いについてで、大泉さんの名前が取り上げられていた。
「大泉さんが考えていた商品、取り扱うことに決めたんですね」
「そうみたいだな」
「で、お前が提案した香水だけどな」
大上部長はちらりとパソコン画面越しにこちらをみて、コホンと小さく咳払いをした。
「あ、あの、わたしがいっていた香水ですか?」
「今回は見送った」
「え、やっぱりダメだったんですね。やっぱり企画の才能はなかったんですね」
「紹介するのがためらわれる」
「え? どういうことですか?」
あの香水、やっぱり紹介しないほうがよかったんだろうか。
「なんでもない。手がとまってる。作業を続けろ」
ごまかされるような気がしたけれど、部長の指示に従わないとさすがに今日やりたい分は終わらないから仕事を進めた。