恋する任務は美しい〜メガネ上司の狼さんと訳あり隠密行動〜
「今日の分、処理できました」
ダンボールいっぱいに入っていた伝票の処理を済ませ、書類の仕分けもできて棚に戻していた。
「ご苦労様」
大上部長は手に持っていた資料から視線をはずし、ちらりとこちらに目を向けた。
左手首につけた腕時計をみて、
「それより、お前」
すっと席を立ち、棚の前にいるわたしに近づいた。
今日の大上部長は銀色のフレームのメガネをかけて、わたしを見下ろす。
出向していたときに見せた物腰の柔らかいやさしい表情をみせていたのに、この部屋にいるとあの大上部長は一体どこに消えたのか、と思えてしまう。
「はい」
「地味な格好してるけど」
別に仕事しているんだから地味でいいじゃないとおもって首を傾げていると、大上部長の太い長いひとさし指がわたしの顔にむけてさしている。
「俺を挑発してるってことか」
そういえば癖で今日はメガネと髪の毛をひとくくりにまとめていた。
「俺に何かを望んでいるのなら構わないが」
「……そんなことはないですけど」
「わかった」
といって、わたしのメガネのテンプルをとり、メガネをはずさせた。
「髪結んでいるのを解け」
しぶしぶひとつで縛っていた髪留めをとる。
解かれた髪の毛がさらりと首と肩にかかった。
大上部長によってさらされてしかもじっと見つめられるのは恥ずかしかった。
「次の仕事の依頼がくるまでそのままの格好でいろ。いいな?」
「……はい」
納得しないと何をされるかわからなかったから、仕方なく答えると、
「物分かりのいい子だ。椎名萌香」
と、大上部長の顔が近づけた瞬間、あごをぐいっと上に持ち上げられると、唇と唇が軽く触れ合った。
「だ、だから、どうしてっ!」
「じゃあ聞くがどうして俺をかわさない?」
と、口角をあげてこちらを伺っている。
「大上部長が勝手に」
「それなら、俺をかわす術でも磨いておけ」
大上部長は持っていたわたしのメガネを渡すと何事もなかったように自分の席をつき、仕事をはじめていた。
ダンボールいっぱいに入っていた伝票の処理を済ませ、書類の仕分けもできて棚に戻していた。
「ご苦労様」
大上部長は手に持っていた資料から視線をはずし、ちらりとこちらに目を向けた。
左手首につけた腕時計をみて、
「それより、お前」
すっと席を立ち、棚の前にいるわたしに近づいた。
今日の大上部長は銀色のフレームのメガネをかけて、わたしを見下ろす。
出向していたときに見せた物腰の柔らかいやさしい表情をみせていたのに、この部屋にいるとあの大上部長は一体どこに消えたのか、と思えてしまう。
「はい」
「地味な格好してるけど」
別に仕事しているんだから地味でいいじゃないとおもって首を傾げていると、大上部長の太い長いひとさし指がわたしの顔にむけてさしている。
「俺を挑発してるってことか」
そういえば癖で今日はメガネと髪の毛をひとくくりにまとめていた。
「俺に何かを望んでいるのなら構わないが」
「……そんなことはないですけど」
「わかった」
といって、わたしのメガネのテンプルをとり、メガネをはずさせた。
「髪結んでいるのを解け」
しぶしぶひとつで縛っていた髪留めをとる。
解かれた髪の毛がさらりと首と肩にかかった。
大上部長によってさらされてしかもじっと見つめられるのは恥ずかしかった。
「次の仕事の依頼がくるまでそのままの格好でいろ。いいな?」
「……はい」
納得しないと何をされるかわからなかったから、仕方なく答えると、
「物分かりのいい子だ。椎名萌香」
と、大上部長の顔が近づけた瞬間、あごをぐいっと上に持ち上げられると、唇と唇が軽く触れ合った。
「だ、だから、どうしてっ!」
「じゃあ聞くがどうして俺をかわさない?」
と、口角をあげてこちらを伺っている。
「大上部長が勝手に」
「それなら、俺をかわす術でも磨いておけ」
大上部長は持っていたわたしのメガネを渡すと何事もなかったように自分の席をつき、仕事をはじめていた。