黄昏の千日紅
気が付けば、学校での成績は常にトップで、中学二年の春には既に、高校三年卒業までの範囲は終わってしまっていた。
難なくこの名門校に首席として入ったことを、私は素直に喜べなかった。
当然の結果であると思ったからだ。
友人と放課後遊びに行き、誰かに恋をし、部活動に専念し、そんな皆が当たり前にしている青春時代を送ってこなかった私よりも勉強に励んできた人間がいるというのなら、是非ともお目にかかりたいものだ。
私には勉強しかなかった。
ただ計算をし、文字を書き、暗記をしていれば嫌なことを考えずに済んだ。
しかし幾ら頭が良くなっても賢くなっても、傷が癒えることはない。
先生や施設の人に幾ら褒められても持て囃されても、私の心はぽっかりと穴が空いているように、いつも隙間があった。