黄昏の千日紅
河村先生は私の居るベッドの横に、自分の丸い椅子を転がしてくる。
私はそれをただじっと見ながら、先生の様子を伺った。
そこに座ると、ふう、と一息吐いてから先生は重々しくゆっくりと口を開いた。
「…藍川さんはきっと強い子よね」
「…え?」
「いや、その。何ていうか。高校一年生にしてはどこか大人びてるっていうか。そうそう…ごめんなさいね、担任の先生から聞いたわ」
「色々大変だったのね」と、眉を下げて私に言う先生の言葉を耳にして、私は動揺してしまい、思わず下を向く。
聞いた、とは、きっと私の過去の私情についての事であろう。
自分が強く握った布団に、皺が寄った。
「…強くなんてありません。もっともっと強くならなきゃいけないのに。私はいつまでも弱いまま…」
そう、私は弱い。
視界がじわりと歪んでいく。
ああ、やばい。泣きたくない。
このままじゃ駄目だ、また弱くなってしまう。
その時、私の頭に柔らかい感触を感じる。