黄昏の千日紅





これが叶わぬ恋だということも、決して彼の目が、私に向くことはないとも、分かっている。






それでも恋とは難しいもので、好きになってしまえば自分ではどうする事も出来ないと知った。





後戻りは出来ない、進む事さえも出来ない。




片想い期間が、きっと幸せなのだとは思う。





しかし私が自分の気持ちを示してしまえば、彼に気まずく思われてしまうかもしれない。





しかも隣の席だ。




今までのように、優しく振舞ってもらえなくなってしまうかもしれない。





一目見るだけで幸福を感じたり、話せただけで喜べたり、そんな片想いをしている期間を私は大事にしたいと思っていて、貴重な時間を簡単に壊してしまいたくはないと思っている。





だからこそ安易に行動は出来ない。







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