君の瞳に映りたくて。


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それから私たちは3人でホラー映画を見た。
私はひたすら美乃里にしがみついていたけど。


そんな私を引きずるように、3人でファミレスまで来た。


「もー、ほんっと舞桜って怖がりだよね。
どうせ作り物じゃん。」


「だからこそ、怖さが増すの!!
………長谷川くんも平気なんだね?」


「まぁー…作り物だし?」


………なんなんだ、このカップルは!!
作り物だと割り切れるものなのか!あれは!


「ところでさー、舞桜ってまだ和泉が好きなの?」


「当たり前じゃん。」


「でも私、最近ちょくちょく香坂といるとこ見るよ?」


「えぇ!!う、うそ、見られてた?」


「あ、やっぱりそうなんだ。
舞桜って香坂と仲良かったの?」


「仲が良いって言うか…仲良いとはまた違う気もするけど…」


「香坂にすればいいのに。
香坂もかっこいいし、むしろ彼女のいる和泉より希望あると思うけど。」


「だから香坂とはそんなんじゃないの!
それに、そんなんで和泉諦められるならとっくに諦めてるってば。」


「和泉のどこがそんなに良いわけ?」


「………んー…
やっぱりサッカーへの熱意とか?サッカーしてるときの和泉ってほんっといい顔してるんだよね。

ほんとはね、入学式の日に和泉と話したの。
その時和泉は、サッカー強豪校からスカウトも来てたけど、それだとつまらないからってそれを蹴って北高に来たって言ってた。
強い学校に入って、強いやつらと練習するより、弱い学校に入って、俺が強くするんだって。
マンガみたいな事言ってたんだけどさ、でもその時の和泉の表情はすっごいよかったの。
きっと、この人は本当にサッカーが好きなんだなーって思った。素直に、応援したいって思った。

私ってさ、朝練は誰よりも早く来るし、部活も誰よりも遅くまで走ってるでしょ?和泉もそうなの。
それに、自主練してるところも何回も見てきた。
うちの学校のサッカーの誰よりもうまいのに、誰よりも努力してて…ただの部活だと考えてる人とは違うんだよ。和泉はたかが高校の部活でも、いつだって本気で。
そういうところが素直にいいと思った。

彼女がいてもさ、サッカーの時間はすっごい大事にしてるやつだよ。
だから、私は別に付き合いたいとかじゃないの。和泉が楽しそうにサッカーしてるのを見られれば、それで十分なの。」


嘘。
この数日間、誰よりも和泉のそばにいられたから、私はもう一番近くで見ていたくなってる。
堂々と、和泉のサッカーしてる姿をそばで見たくなってる。
そんなの、叶わないのにさ。


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