この夏の贈りもの
和と会話をしていると、どうしても表情がこわばってしまう。


それがわかっているからか、和は時々しかあたしに声をかけて来ないようだった。


他のメンバーは大丈夫なのに、和だけはどうしても『男』として『恐怖の対象』として見てしまう自分がいた。


やっぱりダメなのかな。


こんなふうにみんなと遊んで楽しんでも、心の中ではまだまだイジメのトラウマがくすぶっている。


「チホは少し頑張りすぎなんだ」


唯人があたしの隣に座ってそう言った。


「そうなのかな?」


学校での自分を思い出してみる。


本に逃げてばかりで、周りの声なんて聞こえないふりをしている。


その実みんなの会話に耳をすませて聞いていて、羨ましいなとか、今の悪口はあたしのことかな?


なんて、いちいちビクついている。


なにもできていない。
努力なんてちっともしていない。
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