この夏の贈りもの
☆☆☆

あたしと和は教室まで戻ってきていた。


教室の隅に座り込んでいる裕は顔もあげない。


その周囲を黒いモヤが取り囲んでいる。


「どうだった!?」


あたしたちが戻って来たのを見て唯人がすぐにそう聞いて来た。


「悪霊の除霊は明日だ」


和があたしの変わりにそう答えた。


「明日?」


唯人があたしを見る。


「どうして?」


続けてそう質問をしてきた。


口を開きかけたあたしより先に、和がその質問に答えていた。


「夜は悪霊の力が増すんだ。今から除霊するのはとても危険なんだ」


「は……? 危険?」


唯人は瞬きを繰り返している。


嫌な予感がして、あたしは少しだけ唯人から距離を置いた。


「じゃぁ、裕は? 裕はどうなるんだよ?」


唯人が振り向いて裕を見る。
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