この夏の贈りもの
「あたしは見習いだって、あんた知ってて連れて来たんでしょ!?


だったら悪霊を相手にできるかどうくらい、考えてよ! 夜は無理!


夜の悪霊を相手にするとあたしが負けてしまう! 裕が明日成仏できるかどうか?


そんなの知らないっつーの! みんな自分の意思で自分のやりたいことを口にして、目一杯それを楽しんで、それから成仏してたの、唯人だって見てたでしょ!?


裕がこれ以上悪霊化するのは避けたい。でも、それは裕の気持ちの問題でもあるの!!」


息もつかずに一気に言い放った。


今まで言えなかったこと。


怖くて口をとざしてしまっていたこと、全部をぶちまけるように。


キツク唯人を睨み付けると、唯人はおだやかな表情に戻っていた。


「そっか。そうだよな」


そう言い、ほほ笑む。


あたしはまだ興奮状態で肩で呼吸をしてるのに、そんなに唯人に拍子抜けしてしまいそうになる。


なによ、あたしの事を怒らせたくせに。


あたしの事を『マヤ』って呼ぶくせに。


「そうやって、言ってくれればいいんだよ」


「え……?」
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