この夏の贈りもの
職員室に一歩足を踏み入れるとホコリ臭さが鼻につく。


全部の窓を開け放ちたい気分だ。


「鍵はどこ?」


そう聞くと、唯人が職員室の入り口にある戸棚を開いた。


「ここかけられてる」


戸棚の奥には銀色の鍵が引っかけられているのが見えた。


綺麗に並べられているが、時々隙間がある。


使っているうちに無くしてしまったのだろう。


教室の鍵だけじゃなく、あらゆる部屋の鍵をすべてここで保管していたようだ。


生徒の手にも届くような場所に保管しておくなんて、不用心だなぁ。


そんな事を考えながら鍵の形状を調べて行く。


南京錠はそんなに複雑な形はしていない。


しかし、棚の中にそれらしい鍵は見つからなかった。


「鍵はないのかも」


あたしがそう呟くと、和が先生たちの机の引き出しを開けて調べ始めた。
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