この夏の贈りもの
「俺はチホに振られたと思った」


「それは違う」


「わかってる。俺が突然告白したから返事ができなかったんだって、今ならわかる」


あたしたちの歩調は自然と遅くなり、ついには止まってしまった。


和があたしの前に立ち、正面から見つめられた。


暗闇なのに、和の顔がやけにくっきりと見える。


満点の星空があたしたちを照らしだし始めているのだ。


「俺、怖かったんだ」


「怖かった?」


「あぁ……普段からからかわれているチホに振られたって、誰かに知られたらどうしようって……」


和はそう言い、顔を伏せた。


「なに、それ」


和の告白に胸の奥がムカムカしてくるのを感じた。


「あたしが、和からの告白を誰かに言うと思った!?」


つい声が荒くなった。


今まで男子にこんな攻撃になったことはなかった。


「それが怖くて、あたしを黙らせるためにイジメたんだ」


「……ごめん」
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