この夏の贈りもの
あたしと和は校舎を出てコンビニで朝食を買って、電車に乗った。


電車の窓から見える校舎は相変わらず古びている。


それでも取り壊されることなく建っているのは、この町のシンボルだからかもしれない。


「なぁチホ」


「なに?」


「夏休み、どうするんだ?」


「夏休み?」


聞き返して、今が夏休み中だと言う事を思い出していた。


夏休みらしい事なんて、なに1つできていない気がする。


「課題が残ってる」


そう返事をすると和がハの字に眉をさげた。


その様子に笑い声を上げた。


和ってこんなにわかりやすい性格をしていたっけ?


「一緒に課題する?」


そう誘うと、和の表情は一瞬にして明るくなった。


「それもいいけどさ、来週花火大会だろ」


「あぁ、そういやそうだったね」


中学校に入る前まではあたしも毎年参加していたっけ。
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