ダイエットの神様
 高校の校門を気分よく入ってい
くと、遠くから担任の男性教師
が、けげんな顔で近づいて来た。
 紗枝が笑顔であいさつしようと
すると、それをさえぎるように、
「ちょっと来なさい」
 男性教師は、紗枝の手をむりや
り引っ張り、校舎の中に連れて行
かれた。そして校長室へ入った。
 校長は椅子に深々と座り、困っ
た顔で、紗枝を見た。
 しばらくの沈黙を破るように、
男性教師がひと言、
「君には、退学してもらいたい」
 付け足すように校長が話し始め
た。
「美河紗枝さん、あなたは1年生
の1学期しかこの学校には通学し
ていない。今からやり直すにして
も、1年生からだよ。留年は何か
と辛いし、今の1年生は、いい子
ばかりで、どのクラスにも波風を
立てたくないんだよ。分ってくれ
るね」
 紗枝は不満な顔をして何も喋ら
なかった。    
 追い討ちをかけるように、男性
教師が、
「また、いじめられたくないだ
ろ」
 紗枝にはもうこの高校に来たい
という気持ちはなくなっていた。

 登校の生徒が校庭からいなくな
るのを待ち、紗枝は校長室を後に
した。
 紗枝は校庭を歩きながら、怒り
がふつふつとわいてきた。
 立ち止まり、校舎を見つめた紗
枝は、
「中卒でこれからどうやって生き
てけって言うのよー。バカヤ
ロー」
 大声は校庭に空しく響くだけ
だった。
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