雨を待ちわびて
喫茶店で待ち合わせた。
指定して来たのは刑事さんの方だから、時間には正確だろうと思っていた。
6時を少し回った。この程度はよくある事。それに刑事さんなんだし。
…6時半を回った。んー、ちょっと、遅いかな。連絡が無いのも気になる。
珈琲も無くなった。もしかして、事件発生?だから連絡が出来なくなった…。だとしたら、言付けて帰ってもいい。
日にちも時間も間違えた?
今日で間違いないなら、、そろそろ何かしら連絡があっても良さそうだけど…。
【石井さん、今日で合ってますよね?急用ですか?】
心配もあってメールをしてみた。
ブーブー…。電話?
「はい?石井さん?」
「俺だ」
…?…あ、…。
「片霧、さん…」
何の前触れもなく片霧さんの声を聞いてしまった…。
「石井と約束でもしていたのか?」
いきなり石井さんの電話で架けて来て、しかも何の蟠りも無く話し始めるなんて…、片霧さんらしい。
「はい」
「石井は怪我をしたから無理だ」
「え?あの…」
プ。プー…。
…もう、相変わらず一方的…。
石井さんが怪我?…本当に?…大した事無ければいいのだけど。それだって詳しく言ってくれたら…。
あ、この電話、石井さんのからだった。
【怪我をされたと聞きました。全く程度が解らないのですが、お大事になさってください。約束はまた改めて。守田】
これで大丈夫かな。今日は無しって事ね。
あー、ちょっと出て来ただけになったな。
何か買って帰ろうかな…。ここは何かテイクアウト出来るかしら。
メニューを手にしてみる。
カツサンド、美味しそう…。亨さんも好きかも。
駄目かなテイクアウト。言ってみようか。
「あのすみません、カツサンドってテイクアウト出来ませんか?直ぐ食べますので、駄目ですか?」
「いいですよ、お作りします」
人差し指を立てられた。ああ、一人分かって事ね。
「二人分でお願いします」
「はい、少々お待ちくださいね」
良かった。言ってみるものですね、亨さん。
ブー、ブー、…。
「あ、もう、返してくださいよ、片霧さん…ドタキャンなんて、勝手に…」
「うるさい。テメェが何やら余計な事をしようとしてるからだろうが」
「もう、プライベートな時間でしょ?関わらないでください、解放してくださいよ」
「いや。直があの店から帰ったって確認したら解放してやる」
「いい加減にしてください…。きっともう帰りましたよ。時間だって、片霧さんのせいで50分近く待たせた訳ですし。それより、今のメールは何て?」
…。
「……お大事に。約束は改めて、だってよ」
「もう……怪我なんて、心配かけてしまう嘘は駄目ですって。本当に改めますから…いいです…」
「改め無くていいんだ」
「…そんなのは僕の勝手でしょ?」
「フン、…ほら」
「あー、ちょっと、…投げないでください。備品壊したら大変なんですから」
「とにかく、余計な事は連絡するな。いいか、石井。今日、お前は怪我だ、いいな?連絡なんか入れ直すなよ?」
「…はい、解ってます」
「じゃあな、お疲れ」
「…お疲れ様でした」