雨を待ちわびて
「好きも、惚れてるも、本気の話だと思います。だから、その…シたい、と」
最近の片霧さんは、私生活は目茶苦茶だ。
ご飯を食べているかどうか、ちゃんと寝ているかどうかも解らない。家に帰らず仮眠室で寝ている事も多い。何より、お酒の量が昔みたいに増えた。煙草だってかなり吸ってる。
出来れば片霧さんに会って貰いたい。
でも、承諾無しに勝手には言えない。
今こういう風に生活出来ていても、直さんは、心も傷ついた人だから。
迂闊な要望はしてはいけない。
「…知ってる?久遠さんとも片霧さんとも駄目なら、私、慎人君とつき合えばいいって。あの二人に水面下で話されているのよ?
本人其方退けで言われてるのよ?失礼な話よね」
……。
どう考えても、あの二人があっさり引くような事は無いと思う。お互いを牽制し合う為の戯れ言だ。
僕も大人になっておくか。
「そうなったら、僕に引き受けさせてください。二人より若いですから、長生きも出来ると思いますし」
僕はいつでもOKです。
「…有難う。人として心配してくれて。
私はね…甘えていいって言葉に、甘えてるの。弱いって事から、ずるさを覚えたの。もう、本当の意味では完全に自立しないといけないのにね…」
「そこのところは、好きだから、いいんじゃないですか?好きで一緒に居るんだし。甘えていいと言われているなら、甘えてあげる事が二人にとって喜びだと思います。その方が嬉しいんだと思います」
離したくないんだ。
「なんかそれは都合よくない?私って、もう…、こんな女だし、そう言って貰ってる事が…本当は迷惑しかないんじゃないかって思う」
「人間不信になりそう、ですか?二人の言う言葉は本心からだと思いますよ?
どんな出会い方をしても、好きなものは好きなんですから。あ、あれです。
片霧さんとは、メル友になってあげてください。メールで、するのしないのと、応酬し合ってください。ま、くだらないとか、つまんねえ、とか言うと思いますが。それだと健全なつき合いですから」
「フフ、清い交際ね」
「まあ、僕に、鬱陶しい振りをしてメールを見せてくると思いますが」
「そこから始めましょうって事ね」
確かに気持ちを確かめるより身体が先だった。
「久遠先生とは順調なんですよね?」
「勿論。駄目になるには未だ早過ぎるでしょ?」
「そうですね」
「片霧さんは…ううん、何でも無い」
「あれ?駄目ですよ。一度話そうとした事を止めては」
「…そうね」