雨を待ちわびて
「嫌ーっ!」
ハッ、ハァハァ……夢。また…、同じ夢…。ハァァ…。
黒い手…。黒い顔…。…近付いて私の身体に触れる。後退って逃げても黒い手が脚を掴む。そして…服を剥ぎ取る。舌を這わせ……身体の上でうごめき続ける黒い顔。…抗っても押さえつけられ上下する身体。身体中…、ずっと感触が残っているみたいで気持ち悪い。あぁぁ……。触れた場所、全部剥ぎ取ってしまいたい…。身体の中だって…。
……。
あの日、あいつが死んだなんて。
私が部屋を出た後…って事…?大した時間差は無かったのかも知れない。でも、一体誰が…。
悍ましい…。いつ現れるのか解らない恐怖。…自分勝手な行為。
あぁ…。解放されるんだ。…本当に?もう、あの男と…交わる事は無い。
私は……もう、あの男から本当に解放されたの?
誰かちゃんと教えて。間違いなく、あいつはもう居ないって。
…布団には寝たくない。ベッドも…好きではない。寝具というものに横になりたくない…。
一人で寝るにはこのソファーがいい。
あの人が居てくれるなら、ベッドに一緒に寝られる。
あの、冷たくて熱いエネルギーが…私の嫌なモノを何もかも焼き尽くしてくれそうな気がする。
……こんな私。
あの人が帰って来た時は疲れている時。だから眠りを妨げたくない。
狭いベッドに二人居ては気を遣う、無意識に。それは熟睡出来ないという事。
だから、私は寝るのはソファーでいい。