雨を待ちわびて

全て話す事は嫌かも知れない。聞くのは酷かも知れない。
今の状況にもよる。


「ここか…」

「はい、現在、一人暮らし、です」

「ずっと一人か」

「はい、結婚した様子は無いようです」

…そうか。俺より二つ上。現在36歳。つまり、34歳まで…、という事になるのか。同時進行で無ければ、だ…。

「訪ねる事は言って無いな?」

「はい」

居なくなられては困るからな。目配せをした。
コンコン。

「すみませ〜ん。いらっしゃいますか?すみませ〜ん」

…居ないはずは無い。人の気配がしてる。

カチャ。

「はい」

「……不知火」

「あ、刑事さん…。…もう、ここに辿り着いたんですね」

「早島さんは?」

「あいつは仕事に行ってます。夕方まで戻りませんよ」

「どういった関係なんだ」

「まあ、こんな関係です」

「話を聞きたいんだ、早島さんに。当然…君にもね」

「あいつに聞きたい事なら俺が話します。俺が何もかも知っているから。あいつには、何も聞かないでやってくれませんか。もう、思い出させたくないんです」

「それはこっちで判断する事だ」

「…そうですよね。解りました、取り敢えず、近くの喫茶店に行きましょうか。いいですよね?
ここは有希のテリトリーだから、ここで騒ぎ立てたりしたくないんです」

「解った、行こうか」

「はい。あ、帰れなくなったからって、書き置き、いいですか?」

「…ああ」
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