雨を待ちわびて

今日、病院を訪れてから今までの経緯をメールした。
なるべく簡潔にしたつもりだったけど、片霧さんに取っては長かったらしく、なげーよ、了解、とだけ返って来た。

結論だけを伝える事が片霧さんにはベストなんだけど、何故そうなったかを聞かれたら説明しないといけなくなる訳で。だったら、聞かないかも知れないけど言っておいた方がいい。
長くても先に伝えてもおけば、妙な勘ぐりもされずに済む。


部屋の前まで送って貰った。

あ…、花。

「先生…」

「…花ですよね、はぁ」

「はい…」

「二人揃って何してるんだか、ですね。…気が付くのが遅いなんて」

「はい」

「また、ですね」

「はい、またの時に」


「では、おやすみなさい。部屋に入ってください」

「はい。今日は色々、有難うございました。…すみませんでした」

「いいえ、何も。連絡、待ってますよ?」

「あ、…はい」

部屋に向かって階段を上がった。


先生…。運転席から降りて見てくれていた。
手を振るのも可笑しいから、頭を少し下げた。
先生は手を少し上げた。

…全然違う人みたい。

ドアを開けて入る頃、車が遠ざかって行くのが見えた。
先生だから、ですかね。

「よお、お帰り」

「わっ、…びっくりした…」

帰ってるなんて思わなかった。長々とメールをしておいて良かった。

「ただいま戻りました」

「直…、ちょっといいか」

え?な、に?
顔、怖いんですけど…。
……元々だから、機嫌がよく解んない。
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