ロストマーブルズ

 放課後、シアーズに呼び出されていたためにジョーイは職員室に向かった。
 何を言われるのかわからないまま、顔はいかにもうっとうしいとばかりに会う前から反抗的な態度になっていた。

 職員室に入れば、シアーズは自分の席について、デスクの上にある書類にペンを走らせていた。
 ジョーイは気だるく近づき、不遜な態度を取った。

「(言われた通りにやってきましたよ。一体何の用ですか? 急いでいるので早くして下さい)」

 シアーズはジョーイに視線を移すと一息ついて、言葉を選んでから口を開いた。

「(ジョーイ、何か悩んでいることでもあるのか?)」

「(はっ? そんなもんある訳ないだろ。なんで俺だけにそんなこと聞くんだよ)」

「(お前は態度が悪すぎるからだ。何か気に入らないことがあるからわざと学校でそんな態度を取っているのかと思ってな。お前は頭はいいが、その態度では内申書に響くぞ)」

「(そんなの気にしてない。悪くつけたければつけてくれ。話はそれだけか)」

「(ジョーイ、いい加減にしろよ。そろそろ進路も決めなければならない。もっとこれからのこと自分で考えろ。お前は一体何がしたいんだ? お前は恵まれた才能を持っているのに宝の持ち腐れだ)」

「(余計なお世話だ。恵まれた才能? 一体どんな才能だよ。俺のことまるでなんでも知ってるみたいな言い方だな)」

「(私はただ担任として助言しているに過ぎない。お前のような生徒は放っておけないだけだ)」

「(それじゃ俺から放っておいて欲しいとリクエストさせて頂きます。それなら担任風吹かせる必要もないだろ。余計なお世話なんだよ!)」

 シアーズはここぞとばかりに先生の権限を示した。

「(ジョーイ、口を慎め。そんな態度を取るならディテンション〈居残り〉だ)」
「(おいっ、俺この後用事があるんだよ。そんなことしてられるか)」
 シアーズはジョーイに黙ってプリントを差し出す。
「(これができるまで家には帰るな)」

 落ち着いた態度の中に、目つきが鋭く光る。
 容赦はしないとシアーズはジョーイを見つめていた。
 ジョーイはこれ以上反抗したところで無駄だと思い、ひったくるようにそのプリントを手にした。

「(問題を解くくらい5分もあれば簡単にできる。それなら喜んで引き受けてさっさと帰ってやる)」

 不敵な笑みを浮かべ、挑戦的にシアーズを睨み返した。
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