ロストマーブルズ
「(よし、その言葉に偽りはないな)」
「(ああ)」

 そしてシアーズの隣の机が空いていたので、遠慮なく座り込みシアーズの目の前でプリントに取り掛かる。

 しかし内容を見てジョーイはやられたと思った。

「(これ、英語でも日本語でもないじゃないか。おいっ、スペイン語なんて卑怯だぞ)」

 シアーズに文句を垂れると、シアーズは黙ってスペイン語の辞書をジョーイに投げた。

「(喜んでやるって言ったのはお前だぞ)」

 ジョーイは悔しがるが、シアーズは愉快とばかりに笑っていた。

「(くそっ、なんでスペイン語の問題なんか出すんだよ。俺、授業取ってねぇじゃないか)」

 それでもジョーイは辞書を片手に、一心不乱で問題を解き始めた。
 一刻も早く終わらせてキノに会いに行かなければならない。
 焦る気持ちの中とにかく問題を解いていく。

 そして30分後。

「(ほら、できたよ。これで文句ねぇだろ)」
「(ああ、まあいいだろ。とにかくだ、これに懲りて私に逆らうなってことだ。覚えとけ)」

 ジョーイは、歯を食いしばって立ち上がり、プイとその場を腹立たしく去った。

 シアーズは去っていくジョーイの後姿を見送り、そして答えたプリントをじっと見つめる。

「(辞書を片手に習っていない言葉をここまでやれるとは、やっぱりアイツは天才だ)」

 シアーズはふっーと漏らすようなため息をついた。
 そして腕時計を見て時間を確認していた。
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