ロストマーブルズ
 電車が入ってくると、周りはそわそわとうごめく。
 扉が開いても降りる人は少なく、ホームにいた人々は狭い箱の中へと自ら詰め込んでいった。

 ジョーイとキノは人の波に流されるまま密着し、距離が縮まり過ぎてぎこちない。

 どうしていいのかわからぬままドキドキするも、取り繕った愛想笑いでお互い見つめ合った。

 トニーは二人の初々しい姿に思わず笑みを浮かべ、見て見ないフリをした。

 その後、学校の最寄の駅に着いたとき、空気を読んだトニーはさりげなく二人から遠ざかった。

「ジョーイ、俺、先に行く。また教室でな」

 意味ありげにジョーイに向かって粋な笑みを飛ばし、ジョーイの返事も待たず、すぐさま走り去った。

 トニーの気遣いは充分ジョーイに伝わり、ジョーイは妙に照れくさかった。

「トニーの後を追いかけなくてもいいの?」

「あいつ気を遣ったんだよ」

「えっ?」

 少し遅れてキノも照れくさくなっていた。

 
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