ロストマーブルズ
「知らない奴が見たら、誤解するだろうが」

「いいじゃん別に、そういう仲なんだから」

「あら、どういう仲なの?」

 後ろから急に声を掛けられ、二人は振り返った。

「あっ、眞子ちゃん~」

 トニーの鼻を伸ばした声が間抜けに廊下に響く。

「二人は仲がいいのね」

「そんなんじゃなくて、俺が一番好きなのは、眞子ちゃんだけだからね」

 眞子はクスッと笑った。

「ほら、早く帰りなさい。そろそろ学校が閉まる時間よ」

 タイトスカートで強調された腰を振り、眞子はスタスタと前を歩いていった。

 そのセクシーさに参るように、トニーは口笛を一吹きし、そして尻尾を振るようについていってしまう。

「おい、トニー」

 誰からも邪険にされたようで、ジョーイは廊下に寂しく一人取り残されていた。
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