ロストマーブルズ
「嘘、やだ、キノちゃんもジョーイの事が好きだったの? えー、そんな。ジョーイはどう思ってるの?」

 詩織はまさかの事態に動揺していた。

 妹のように可愛がっているキノが、ジョーイを好きだとは考えたことがなかった。

 キノもこの流れに慌てていた。

 ジョーイはどう答えて良いのか言葉すら浮かんでこなかった。

 それをじれったいとトニーは口を挟む。

「ジョーイ、これははっきり言った方がいいぞ。キノが好きだって……」

「おい、トニー、バカ、何を言うんだ」

「だって、お前、言ってたじゃないか、キノが気になるって」

「だからってトニーがここでいうことじゃないだろっ!」

「ええー、ジョーイもキノちゃんが好きなの? 嘘」

 詩織はショックで泣きそうになってしまい、キノも眼鏡の奥で目を丸くしている。

 とんでもないことになったと、冷静なジョーイですら困り果てて慌ててしまった。

「こういうジレジレするの俺嫌いなんだ。はっきり言えば事が収まるんだから、いい機会だはっきりしろ。ここでキノと付き合え」

「トニー、いい加減にしてくれ」

「そんな、キノちゃんとジョーイが両思いだなんて」

 詩織はとうとう泣き出してしまった。

「詩織さん、ちょっと泣かないで」

 キノはなだめようとするが、いい言葉など何一つ浮かばず、おろおろしていた。
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