ロストマーブルズ
第十章 告白と悲しみ

 トニーにしたら悪気はないのはわかるが、物事には順序というものがある。
 いきなりパンドラの箱を開けたら収拾がつかなくなることくらい、わかりそうなのに、それを平然とやってのけるのも、やっぱりトニーならではだった。

 詩織はまだ泣き続けている。

 ジョーイとキノはどうする事もできずに、側で突っ立っていた。
 
 原因を作ったトニーは、かき回すだけかき回して、この時とばかり、部外者面して逃げてしまった。

 トニーを責めても、この状況は変わらないので、ジョーイはなんとかしようと試みた。

「腹が減った。飯でも食いにいかないか」

 ジョーイの提案に詩織はかぶりを振る。

「何か食べられる気分じゃない」

「しかし、周りはじろじろ見ていくし、このままここに立ってる訳にもいかないだろ」

 ジョーイはじろじろと向けられる好奇心の目に居心地悪かった。

 助けを求めるようにキノを見るも、キノも困惑しきっていた。

 キノも自分の事で精一杯に、反対に助けて欲しいと、懇願の目をジョーイに向けた。

 いつまでこんな調子が続くのか、ジョーイは我慢できなくなって深い溜息を吐いた。

 それに詩織は反応し、ゆっくりと顔を上げた。

 その後は大雑把に自分の制服の袖で涙を拭った。

 以前ジョーイに袖で涙を拭けと言われたように、それは自分で解決するという意味を詩織は込めていた。
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