ロストマーブルズ

「(ギー、こんなところで何をしてるんだ)」

 またややこしいのに会い、邪魔をされてジョーイは不機嫌極まりない。

 その間にも、キノ達はマンションの入り口にさしかかり入っていく。

 ジョーイは怒りを込めてギーを睥睨していた。

「(そっちこそ、かなり苛立ってる様子だが、なんかあったのか)」

「(うるさい)」

「(おいおい、落ち着けよ。そうすれば、物事も見えてくるぜ。しかしあいつらがお前に接触するところを見ると、やっぱりお前もモルモットってことなんだな。ロバート・スタンリーはお前だけは特別扱いか)」

「(モルモットってどういう意味だ? なぜ俺の父の名前が出てくるんだ? あの二人とどういう関係があるんだ?)」

「(それならば、こっちも質問だ。なぜ目の前で全てを吹き飛ばすように家が爆発したんだ? なぜ、父親が行方不明なんだ? お前のIQが高い理由はなんだと思う? もう一度大豆を見て考えてみろ。じゃあな)」

 ギーは嘲笑い、そしてジョーイに軽蔑の眼差しを向けて去っていった。

 ジョーイは湧き起こる怒りを抑えるのに必死だった。

 邪魔をされた挙句、訳の分からないことを言われ、処理できないほどの不満に拳を上げて殴りたくなってくる。

 ノアと名乗った血の繋がらない兄にも同じように憤っていた。

 ジョーイはとにかくキノの住むマンションへと足を向けた。

 大きなエントランスはICカードを通さなければドアは開かず中へは入れなかった。

 訪問者はモニターを通じて認証されてからロックを解除するシステムらしい。

 これではキノの部屋番号も分からず、例え部屋がどこか分かったところでノアが居る限り許可がされる訳がない。

 どうあがいてもそのマンションには入る術などなかった。

 ジョーイは高く聳え立つマンションを下から眺め、悔しさをにじませた。

 持っていきようのない感情を発散させるがごとく、思いっきり地面を蹴ってみたが、余計に虚しかった。

 最後は諦めて肩を落としながら、家に向かってとぼとぼと歩き出した。
< 244 / 320 >

この作品をシェア

pagetop