ロストマーブルズ
「おい、あんな見え透いた嘘言ってどうすんだよ」

 ジョーイは肘でトニーをこついた。

「いいじゃんか、どうせ何を言ったところで嘘ばかり話すんだろ。だったら最初から嘘ついとけ。何も正直に言う必要はないんだよ。バカ正直というのか、お前はこういうとき頭が働かないな」

 何も言えずに、ジョーイは黙々と歩いていた。

 ちらりと後ろを振り返ると、さっきのおばさんがすでにゴミを持ってきた人となにやら話し込んでいた。

 それを見るとあれでよかったと思えた。

 しかしあんな嘘をすぐに信じることに驚いてしまう。
 そこに程度の低さも一緒に感じていたのか、ジョーイの目は蔑んでいた。
 
 また嫌なものを見てしまったこともあるが、駅が近づいてくると、なぜかジョーイは胃がキューっと差し込んでくるように感じた。

 ジョーイは無意識に腹を押さえ前屈みになって歩いていた。

「おい、大丈夫か?」

 トニーの観察力の鋭さ。
 ジョーイの変化に気がつかない訳がなかった。

「ああ、大丈夫だ」

 何食わぬ顔をしてみたが、ジョーイ自身なぜこうなってるのかよく分かっていない。

「それならいいけど、ところでアイツと会うだろうか」

 トニーの一言でジョーイは胃から何か飛び出しそうになった。

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