秘書室室長がグイグイ迫ってきます!

たくさんの路線が乗り入れる繁華街の駅で降りると、さすがに人でごった返していて、伊吹さんは私の手をサッと握る。

その行為に照れてしまうけれど、イヤではなかった。


「ここ見てもいいですか?」


地下街にある店をチラチラと見ながら、ジーンズショップに足を踏み入れた。


「悠里がジーンズをはくとは思ってなかったな」

「どうしてですか? 休みの日はほとんどジーンズですよ?」


会社ではほとんどスーツ。
しかもスカートが多いからそう思うのかもしれない。

でも……。


「伊吹さんだって、意外です」


彼は今日もジーンズ姿。
白いシャツにグレーのVネックセーターを合わせ、ロング丈のステンカラ―コート。

彼のスーツ姿しか見たことがなかった私には、新鮮だった。
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