秘書室室長がグイグイ迫ってきます!
慌てて着替えて出ていくと、さっきとは別の店員が「お包みします」とスーツを持ち去った。
「伊吹さん、あの……」
「将来の嫁に投資したって、別に文句ないだろ?」
『将来の嫁』って……。
私のこと、そんなに真剣に?
「いえっ! すごく高かったですし」
「気にするな。もしもその男に会うようなことがあれば、真新しい洋服を着て、幸せにしている姿を見せつけてやれ。もう過去など関係ないとな。逃した魚は大きかったと後悔させろ」
そのために?
彼の気遣いに、思わず目頭が熱くなる。
「はい。ありがとうございます」
素直に頭を下げると、彼は私の頭をポンと叩いた。
「ほら、次はカフェだ」
私の過去のトラウマに付き合わされているのに、彼はイヤな顔ひとつしない。