秘書室室長がグイグイ迫ってきます!

「それじゃあ、ふたりに仕事をさせすぎな俺のせいだな」

「違います」


私は慌てて首を振った。
高畑さんはともかく、私は仕事が遅いだけだ。


「なんか俺たち、堂々巡りしてない?」


吹き出す聡さんにつられて私も笑ってしまった。


「それでは、本日のスケジュールです」


気持ちを切り替えスケジュールを伝えようとすると「でも」と聡さんが口を開く。


「なにか?」

「いや。高畑さんは、責任感が人一倍なんだよね。だからすごく助かってるけど、どうしても仕事も増えてしまう。おまけに、本当はすごく優しいから断るということをしない。あ、ごめん。続けて」

「はい。まず十時から……」


スケジュールを読み上げながら、伊吹さんのことを考えていた。

彼は仕事のときは本当に厳しいけれど、私の失敗も自分のことのように頭を下げてくれる。
きちんと部下の責任を取ってくれる優しい上司だ。

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