秘書室室長がグイグイ迫ってきます!
「悠里ならできる」
「えっ……」
一瞬、上司の仮面を外した彼は、私に自信をくれた。
「おはようございます」
そのとき、常務の秘書が出勤してきたから慌てて離れ、玄関に向かった。
運転手つきの車にはいつまで経っても慣れない。
それはどうやら聡さんも同じらしい。
「自分で運転したい」なんて言うから、思わず笑ってしまった。
だけどこれも聡さんの気遣い。
初めての、しかもいきなりのひとり立ちの私の緊張をほぐしてくれようとしているに違いない。
本当は秘書がすることなのに……。
アポイントの時間には余裕がある。
商社の近くにたどり着くと、聡さんはコンビニに入るように運転手に指示を出した。
「あの、なにか?」
「ちょっと待ってて」
彼はそう言い残して、車を降りてしまう。