秘書室室長がグイグイ迫ってきます!
「いってらっしゃいませ」
後部座席のドアを開け頭を下げると、まずは社長が車に乗り込んだ。
「広瀬、すぐにメイクを直してこい」
「えっ?」
「さっさと行け」
さっき着替えるときに直したつもりだったけど……。
「はい。すみません」
いつもなら、車が見えなくなるまで頭を下げてから引き上げるけれど、高畑さんに急かされ、すぐに社屋に入った。
それからトイレに駆け込んだものの、特にメイクは変じゃない。
「あっ……」
もしかして、震える私に気がついて、中に入れてくれようとした?
でもまさか、あの高畑さんが……。
叱られた覚えしかない高畑さんにそんな優しくされるなんて、ありえないよ、ね……。