秘書室室長がグイグイ迫ってきます!
――トントン。
「どうぞ」
聡さんにコーヒーを持っていくと、彼は難しい顔をして書類を読んでいた。
「宮城さん、コーヒーをお持ちしました」
聡さんは、高畑さんより六つ年下の二十八歳で、また相当な容姿の持ち主。
高畑さんとふたり並ぶと、ホストクラブにでも来たのかと錯覚するほどのオーラを放っている。
ただし、高畑さんより眼差しは優しい。
食品会社にいた頃は、女子社員の注目の的だったとか。
だけど、取締役に就任してすぐ、結婚した。
「ありがとう。でも、聡でいいよ」
「はい……」
まだ、"平"の取締役である彼は、常務とか専務といった役職はない。
だから『取締役』と呼ぶのも呼びにくく、高畑さんは『聡さん』と呼ぶけれど、私はなかなか呼べないでいる。