秘書室室長がグイグイ迫ってきます!

伊吹さんは涙が止まらなくなった私の手を引き、私の部屋に向かう。


「ごめんなさい」

「お前が謝ることじゃない」

「ごめんなさい」


彼はそう言うけれど、謝ることしかできない。

紳と求めあった日があったことは事実。
でもそんなこと伊吹さんの前で言われたくなかった。


「大丈夫だ。泣くな」


彼からほんの少しお酒の匂いがする。
接待の後、心配で見にきてくれたに違いない。


「でも、私……」


伊吹さんに愛される資格があるの?


「俺がアイツ以上にお前を愛してやる。だからお前は、俺を信じているだけでいい」


彼に強く抱き寄せられると、その心地よさに再び涙があふれる。

紳と奈津のことがあってから、どこかで誰も信じてはいけないとブレーキがかかっていた。
でも、そのブレーキですら、伊吹さんは簡単に外してくれた。

それは、あんなにグイグイ迫りながらも、無理矢理私を抱こうとはしない彼が、私のことを大切にしてくれていると感じられるからだ。

それに今日だって、疲れているはずなのにこうして来てくれた。
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