笹に願いを
あとは味覚麻痺。
要するに、何を食べても味がハッキリしない、という状態だ。
だから食欲自体が無くなってしまう。
そのため、食べる量は本当に激減してしまったにも関わらず、全身がむくんでいるので(むくみも副作用の一つだ)、はたから見たら太ったようにしか見えない。
むくみのおかげで、実際に手持ちの服がきつくなった。
中には入らなくなった服もある。
倦怠感と相まって、体の全てが風船みたいに膨らんでるくらい、太ったような気がするんだけど・・・実際はパンパンに膨らむほど、そこまで太ってはいないのよね。
と、鏡に映っている自分の全身を見ながら私は思いつつ、カツラをかぶった。

少しだけカツラを左右に動かす。
そして、ずれていないか確認をするように、今度は顔を左右に動かす。
よし、大丈夫。
鏡に向かって微笑みながら、口から出たのは、また、ため息だった。

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