笹に願いを
「どうした?」と優しい声で言いながら、彼が私を後ろから優しく抱きしめる。
「うーん・・・なんか私って、ずっと目を細めてるような感じの顔になったなぁ、と思って。瞼までむくんでるから」と、鏡に映る彼に向かって言いながら、私は彼の腕に、そっと手を置いた。

「これから仕事だから眉毛描いてるけど、ホントは眉毛もまつ毛もなくなっちゃってるからさ、余計細目が強調されてるっぽくない?」
「でもおまえはキレイだ。だっておまえは俺の織江だから」
「嘘つかなくていいよ、天野くん。お世辞にもなってな・・・」
「んー?なんだってぇ?天野夫人」と、わざとらしい口調で彼は私にそう聞くと、私の耳に近い頬に、そっと唇をつけた。

「・・・・・・あ」

そうだった。私・・。
私たちは・・・。

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