笹に願いを
『最愛の私の夫 そして最高のパートナー、義彦へ
どう死ぬかは、どう生きるかにつながっている。だから“死”を受け入れること。死ぬことを視野に入れて生きること。
義彦は覚えてるかな、ガンの末期だって須藤先生から告げられたときに、続けて先生からこう言われたこと。
死が身近に迫ってきている今、私はよくこの言葉を思い出します。
最期の瞬間がいつ来るかは分からない。でもそれが日一日、確実に近づいていることは分かります。
そのとき私は、もう意識がなくなって、話すこともできないかもしれない。こればかりは、そのときにならないと分からないもんね。
だから手紙を書くことにしました。

義彦。「私のこと忘れないで」なんて言わないよ。だって逆の立場だったら、私はあなたのことを忘れることなんてできないもん。
死ぬ方は忘れてしまうかもしれないけど(これもそのときにならないと分からないよね)。

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