笹に願いを
・・・この人は私が思っていることが分かったのかな。
それとも・・・それとも、彼も私と同じように思ってくれていたのかな。

私たち、心が通じ合ってるのかな。

たとえさっきの天野くんの言葉が一時的な「告白」だったとしても、私はとても嬉しかった。
一時的だったとしても、彼の言葉には真実の心がこもっていたから。
その熱い想いが、私にはしっかり伝わってきたから。
彼の温もりを感じるおかげで、涙と一緒に、ずっと胸の内に巣くっていた死の恐怖と別離の悲しみが、少しずつなくなっていく。

天野くんの胸を借りて、たくさん涙を流した私は泣き疲れたのか。
彼の腕を枕にして、いつの間にか眠っていた。

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