笹に願いを
13
「後で病院行く」
「え。でも仕事あるんでしょ」
「仕事終わらせた後行くから、あんま一緒にいられないと思うが」
「だから来なくていいよ。天野くん、昨日はほとんど寝てないんだし。今日は自分ちに帰った方がいいんじゃ・・」
「行くっつってんだろーが」

わざとムッとした顔を作って玄関に座った天野くんは、慣れた手つきでスニーカーを履き、紐を結んだ。

まだ元気だけど、入院した時点でもう外見的に病人モードに入ってしまう気がするから、本音としては、そういう姿を天野くんには見せたくないというか・・・大好きな彼には見られたくないという、女的な恥じらいみたいな気持ちが強くて。
できればこの人には病院に来てほしくない。
でも入院してる間、一度も来ないってことは絶対ないから・・・逆に、今のうちに来てもらった方がいいのかもしれない。

どうやって天野くんの申し出を突っぱねようかと思ったけど、結局思い直した私は「うん」と言った。

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