笹に願いを
「ありがと。でも無理しちゃダメだよ。天野くん、寝不足で疲れてるはずなんだから」
「だいじょーぶだいじょーぶ。徹マで鍛えてるし」
「なにそれ。自分の年齢(トシ)自覚しなさいよ」
「してるしー。俺、まだ若いし・・・よっしゃ、準備できた」
「忘れ物ない?」
「ない。じゃー、仕事行ってくる」
「行ってらっしゃい。気をつけ・・て」

・・・え?
天野くんの大きな右手が私の方に伸びてきた?
その手が私の髪を梳くうようにくぐって、頬から顎にかけての輪郭に触れてる?
同時に、彼が屈んで・・・彼の顔が近づいて・・・。

唇にキス、された。

「・・・・・・ね」
「おう」

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