相原くんは秀才。



「相原くん……。」



ギュッと握る手に力を込めれば、その手をグイッと引かれて抱きしめられる。


「あの、教えてください。
出来れば…この気持ちの答えも。


相原くんは、ただのクラスメイトで…それ以上でもそれ以下でもなかったのに。」



「ん。」



短い相槌を打ちながら、抱きしめる腕に力を込めた相原くんの顔は見えない。


「でも、知らないうちに相原くんのこと目で追ってて…」


「ん。」


「近くにいると苦しいのに、こうして抱きしめられてることが…すごく嬉しい。

こんな気持ちは、なんて言うの?」



「…バカ。
せっかく逃がしてやったのに。」



苦しいくらい抱きしめられて、心臓はドキドキと音を奏でる。


でもその音は、私のじゃない。




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