相原くんは秀才。
「相原くん…ドキドキしてる?」
ギュッと閉じ込められた相原くんの胸から聞こえてくる一定の心地いいリズムをもっと聞きたいとばかりに耳を澄ませば
「…してるよ。
してるに決まってんだろ。
俺なんか、最初から好きだったよ。日菜しか見てなかったよ。」
「えっ、」
突然の告白に、驚きすぎて顔を上げた私に見えたのは、照れくさそうに…でも真っ直ぐ私を見つめる茶色い瞳。
「日菜、気付くの遅過ぎ。
いつまで経っても俺のこと眼中にないから、意地でも俺のことしか見えなくしてやるって…かなり頑張ったんだけど。
勉強教えてやる…なんて、口実。」
「……相原くん。」
「長谷川と2人っきりで夏休みに勉強なんてさせてたまるかよ。
考えただけで、気が狂いそう。」
切なげに揺れる茶色い瞳が私の心を掴んで離さない。