オトナの恋は強引です!
神無月の間。2階の角部屋。
本館は月の和名が付けれれている。

「海が見えるね。良い部屋じゃん。」とドラゴンは窓の前に立つ。
「呆れて何を言ったら良いのかわからない。」と私が溜息をついて、机の前でお茶を淹れると、
「俺もだ。」とドラゴンは隣に座って私を引き寄せ、
固く抱きしめて、深く唇を重ねる。
おとなしくくちづけされると、少しは頭が冷えてきたかな。


「竜二さん。私達は付き合ってるわけじゃないよね。
確かに私は抱いて欲しいって言ったけど、それだけだって思ってた。
だって、4年間何にもなかったし…。
私は相手にされてなかったでしょ。」と腕を抜け出る。
「確かに、俺は初めはサクラを相手にしてなかった。
10歳も年下だし、コムギの親友だし。
迂闊に手は出せねーだろ。」と溜息を吐いた。
「俺は見かけが良いから、オンナがいくらでも寄ってくる。
サクラもそうなんだって思ってたんだよ。
相手にしなければ他にオトコができるだろうって。
その方が良かった。だって、そうだろ。
男と女の関係にならなければ、ずっと、距離は同じだ。
おまえはDragonのカウンターに座ってて、笑ったり、酔っ払って、ニコニコしたり。
ずっと見えるところにいるってそう思ったんだよ。
おまえはいつまで経ってもオトコをつくらなかったけどさ。
好都合だったよ。
いなくなったら、寂しい。
おまえの笑顔が見たい。
飯を食って、美味しいって笑う所や、
頬杖をついて、カウンターで本を読んでる姿を見ていたかった。
でもさあ、この頃、元気がなくって、気になって、
コムギに聞いたら、
引っ越そうかなって悩んでた。って言ってさ。
それって、俺がいつまで経ったもおまえと向き合わないからって事だろ。
付き合って別れたら、サクラはいなくなるけど、
付き合わなくてもいなくなるのかよ。って気がついてさあ。
そしたら、そわそわ落ち着かなくなって、
俺って他のオンナといても、ずっとサクラを見てたんだって、
自分に気がついた。」

「俺が怪我した時助けてくれたろ。
砂浜で俺の名前を呼んで、心配してる顔を見たら、
やっぱり、俺はサクラにそばにいて欲しいって。
誰より、そばにいて欲しいってそう思ったんだよ。
でもさあ、俺がゆっくり付き合おうって、
おまえはオトコを知らなそうだしさ、って思ってた矢先に
サクラは『抱いて』って言ったんだ。
そりゃ、抱くよ。早すぎるかって悩んだけど、
好きだって気付いたんだから。
俺だってサクラが欲しかったし。
これで付き合える。って思ったんだよ。」
< 27 / 80 >

この作品をシェア

pagetop