【完】素直じゃないね。


「あの、その人はね、あたしのいとこなの」


「イ、トコ……?」


乃亜の言葉を反芻しながら、改めて男を振り返った。


すると、頭をかきながら苦笑いを浮かべたその男と目が合う。


「俺、武智 宙 ( たけち そら )。
乃亜のいとこです」


……うそでしょ。


チャラチャラしたこの男と、大人しい乃亜。

まったくキャラの違うふたり。


血が繋がってると……?


信じ難いけど、乃亜が言うことを疑うという思考回路は持ち合わせていないあたしは、この事実を受け入れる方に思考を方向転換した。


たしかに言われて見れば、くりくりした瞳が似てる、かもしれない。


だけど、驚き以上にショックが大きくて。


乃亜と四年以上一緒にいるっていうのに、いとこの存在を知らなかったのだから。


しかも乃亜と仲良い存在が、自分の他にいたなんて、いとことはいえジェラシーを感じずにはいられない。

< 33 / 409 >

この作品をシェア

pagetop