【完】素直じゃないね。
「はーぁ……」
斜め前の悠月の背中を見つめながら、肘をついてため息をつく。
悠月、今どんな顔してるんだろ。
女子の声にかき消されて、悠月の声も聞こえないよ……。
こんな光景は日常茶飯事だったはずなのに、今はモヤモヤして我慢できない。
彼女になれただけであんなに嬉しかったのに、どんどん欲張りになっていく……。
と、その時。
「高嶺くん! おはよう!」
一際可愛らしい声が聞こえてきて、再び悠月の席の方へ視線を向けると、ショートヘアの小柄な女子の姿が見えた。
……あの子、たしか隣のクラスの川合さんだ。
学年で一番可愛いと評判の女子。
まわりに花が咲いて見えそうな、ふわふわで小動物みたいな子で。
あんなに可愛い子も、悠月のこと好きなんだ。
あたしとは正反対。
強がりで可愛げのないあたしとは全然違う、だれもが守ってあげたいって思うような可愛い女子。