旦那中毒
出逢い
 私の名前はみゆ。
旦那はシャブ中だ。
そして私は、旦那に依存する旦那中毒者だ。

 出逢いは、今から10年前。地元のお祭りで旦那とは出会った。旦那の名前はハルキ。地元では名の知れたヤンキーだった。
私は、対して悪いことはしてこなかったが、強いて言うならば、パギャル。
17才の時に万引きで補導されたぐらい。
当時旦那は28才で、私は23才だった。

いわゆる『ナンパ』で知り合ったのだ。

 私の顔は、まぁ、そこそこ。
スタイルも悪くはない程度か。
ただ、元彼の影響で、スポーツカーが好きだったから、レースクイーンにでもなって、有名になって、サーキットを闊歩したいなんて夢を密かに抱いていた。
病院の事務をしていた事もあり、ドクターと接する機会があったから、広告代理店のお偉いさんとも繋がれた。
蓋を空けてみれば、ドスケベなディレクターの奴隷となって、のしあがる様な世界だったが…。
そんな、軽い気持ちで始めた夢だったから、うまくもいかず、スカウトされて入ったプロダクションや、イベントコンパニオンの事務所も直ぐに辞めてしまった。
というよりも、自分をもっと大事にしようと思ったのが本音だ。

レースクイーンを目指す半年前、5年も付き合っていた彼氏と別れた。
別にスポーツカーが好きだった彼を見返したくて、レースクイーンを目指す事になったわけではないが、ただなんとなくだった。
半年間、彼氏のいない寂しさから、飲み会や街に出る機会が増えた。
出逢いを常に求めた生活をしていた。
確かに、こっちが求めていたから、男の人は寄ってきた。
だけど、素敵な人なんて一人もいなかった。
ただただ、体目当てのスケベな奴ばかりだった。

出逢いは、求めている時は訪れないけど、辞めた瞬間訪れるって本当なんだな。

日サロで真っ黒に焼けて、髪は銀髪、いかにも悪そうなオーラではっぴを着た集団が前から歩いてくる。
御輿を担ぐ姿も、沢山声を出して、酒にやけてしゃがれた声も全部かっこよく見える。
夏祭りのマジック。御輿マジックってやつ。
そんなハルキに声をかけられた。
元彼は真面目な人だったから、一瞬で私は、恋におちてしまった。

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