Amour éternel à vous
私たちの前まで来た翔くんは、ギロリと悠真さんを睨みつける。
「んで、何で悠真が萌ちゃんと一緒にいるわけ?」
「繁華街で一人でいるの見つけたから、危ないと思って声かけた。で、そのままそこにいるわけにもいかないからここに連れてきた、ただそれだけ」
「それだけって・・・普通は家に送ってってやるだろ?こんな時間まで連れて歩くとか、何考えてんだよお前」
私が“帰りたくない”とお願いしたことは伏せて、あくまで自分の意思でここへ連れてきたと主張する悠真さん。
それを聞いてさらに鋭く悠真さんを睨みつける翔くんに、居た堪れなくなった私は慌てて口を開いた。
「あ、あのね、悠真さんは何も悪くないから・・・!ここに連れてきてくれたのだって、私が帰りたくないってお願いしたからで・・・」
「・・家で何かあった?」
「それは・・・」
先ほどまでの表情とは一変して、沈痛な面持ちで私を見つめる翔くんからそっと視線を逸らす。
頭の中で何て答えようか考えていると、急に悠真さんがグッと私の肩を抱く。
「ゆ、悠真さん・・・!?」
「翔、俺たちもう行くから」
「おい、悠真・・・!」
翔くんの言葉に耳を貸すことなく歩き始めた悠真さんに、若干引きずられるようにして歩く。
あ、そうだ・・・
ふとあることを思い出し、頭だけ後ろを向けて翔くんに声をかける。
「翔くん、この事あずさには・・」
「分かった。何か聞かれたら俺から上手く言っとく。あっ、悠真に何かされそうになったら大声出して、すぐに助けに行くから」
もう何を言っても無駄だと悟ったのか、片手を挙げて見送ってくれる翔くん。
そんな翔くんに軽く笑みを返し、私は初めて緋焔倉庫へと足を踏み入れた。