政略結婚ですが愛されています
会社を経営する父さんは、お金は会社を発展させるために特に重要なものだと考えていて、私に資産運用を学ばせようとする気持ちはわからなくもない。
だけど高校生の頃の私は、お料理教室のあとに証券会社に連れていかれる日々に疑問を持ち、私の将来はいったいどうなるのだろうかと、悩むこともあった。
そんな習い事三昧の日々への疑問を父さんにぶつければ、『珠美は将来、父さんの会社を発展させるために、いいお嫁さんになるんだ。そのためにはあらゆることを学んでおくべきなんだ』と、戸惑いも躊躇も見せず言い切った。
そんな父さんに私はなにも言い返せず、いつの間にかその言葉を受け入れていた。
そして『まずは家事一切を完璧にこなせるように努力しなさい』と言われるがままに学び、めきめきとその腕を上げていった。
『いつでもお嫁に行けるように』
子どもの頃からそう言われて育てられてきたとなれば、佐都里が喜ぶ料理を作るのは簡単だ。
それに、実は私は家事が嫌いではなく、むしろ好きだと気づいてからは、いっそう努力した。
容易ではなかった日々を乗り越えた自分を誉めてあげたい。