専務に仕事をさせるには

躊躇していた私だが意を決してお願いすることにした。


「津寄与ママのお店で働かせてもらえませんか?」


私の突拍子のないお願いに津寄与ママは目を丸くして驚いている。勿論恭子ママも驚いていた。


「瀬戸ちゃん、何言ってるの!? さっきと話が違わない!? まさか久隆ちゃんの所を辞めるなんて言わないわよね!?」

恭子ママは慌てた様子で聞く。


驚くのも無理は無い。

さっき迄麗美堂が好きで仕事にも誇りを持っていると言っていたのだから。

ホステスの中にはOLとの二足のわらじを履いてる人も居るだろうが、大手企業は副業を禁止している所が多い。

もしバイトをしている事が会社にバレてしまえばクビになるやもしれない。

折角入った会社をクビになる覚悟でバイトをするなら余程の理由が有るか、それとも収入の良いホステスに転職を考えている人だろうか…


「あなた何考えてるの!?」

津寄与ママの厳しい目が向けられる。


「…ママ達のおもてなしを勉強させて頂けないかと?」


「嘘をおっしゃい!!」


私の言葉に間髪入れず津寄与ママの厳しい言葉が飛んで来た。


「勉強をしたいなら、まず恭子ママにお願いするのが筋でしょ!? それに大手企業の秘書がホステスのバイトをしてる事がバレたら、会社の信用をなくしかねないわよ!! 私は、ホステスという仕事に誇りを持っているから、ホステスを卑下するつもりも卑屈になったりしないけど、世の中にはホステスをよく思わない人は沢山いるのよ? ホステスと楽しむ為にお店へいらしても、本来の自分の領域には侵入を拒む、そんなお客様は多いのよ! 麗美堂が好きだと言っていたあなたが会社に泥を塗るような事はしたくないでしょ!?」





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