専務に仕事をさせるには

津寄与ママが言う事は分かる。

麗美堂の専務秘書が銀座のクラブでホステスをしてるなんてしれたら大変な事になる。

でも…


「お給料は頂かなくて結構ですからお願いします」

私は頭を下げた。


「何を企んでるの?」


「それは…」


「言えないなら諦めなさい! お店で問題が起きた時、ママの私が何も知らなかったでは通らないのよ!?」

津寄与ママは話しはこれで終わりと言うかの様に吸っていたタバコを灰皿に押し付けた。


「ねぇ瀬戸ちゃん? あなたがグレイスで働きたいのは副社長が関係してるんじゃない? そしてそれは会社の為よね?」

恭子ママは確信を持っているかの様に聞く。

それを聞いた津寄与ママは会社の為ってどういう事と驚いている。


ああ…どうしよう…

副社長の事は極秘で専務と室長が動いてるのに、私が部外者に会社のトラブルを話す訳にはいかない…

もしこれが公になったら社長は大変な事になる。


「違います… 本当に勉強の為に…」

私は、俯き小さな声で答えた。


「瀬戸さん、あなたが話さないなら久隆ちゃんに電話して聞くわよ!? ホステスとしてうちの店で働かせて良いのか?」

俯いていた顔を上げ慌てて津寄与ママに懇願する。

「まっ待って下さい! それは困ります。 専務には言わないで下さい! お願いします!」と再び頭を下げた。


その時隣の席に座っていた年配の女性が私達の席に移動して来た。


え? 誰?


「津寄与、この子の力になってやりなさい。問題が起きた時は私が責任を取ります」


突然割り込んで来て津寄与ママに力になれと言ってくれるこの人は誰?


「大ママ…」と津寄与ママが困った様に呼んだ。


大ママ? 

何がなんだか分からずただ呆けている私に恭子ママがその女性はグレイスの大ママだと教えてくれた。

大ママはレストランでも離れた席に居て私の事を全て見ていたと言う。


「あなたは、ホント頑固ね? あの人に良く似てる」と大ママは苦笑する。


あの人?





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